2000.12.17より


労働対価意識


賃金の本質は労働力の価値・価格であるが,それは,その現象形態においては,労働の価格,すなわち,一定量の労働の給付に対して支払われる反対給付=一定量の貨幣,としてあらわれる。このような現象形態においては,売られているのは労働ではなく労働力であるという本質的なことがみえなくなってしまうし、また,賃金が労働の価格としてあらわれることによって,それは給付された全労働(必要労働+剰余労働)に対して支払われているかのように現象するために、すべての労働が支払労働として現象し、支払労働と不払労働の関係がすべておおい隠されてしまう。しかし事実(現象)としては,賃金は労働の対価としてしかあらわれえないのである。欧米の社会には、このような「労働の質量と賃金を結びつけて考える、賃金は労働の対価である」、という意識、「労働の質量と賃金を結びつけるという慣行」、別の表現でいえば、「一定の確定した労働給付に対する反対給付としての賃金という関係」、が確立しているが、日本では、そのような意識が希薄でありいまだ確立していない。



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